最愛の宇宙人が県外に引っ越した。大学院を卒業したてのほやほやで、入社式を間近に控えている。私のほうは今週末に実家を出る。早くみずからの稼ぎで食べてゆきたくて──世帯主の扶養を脱したくて──学部卒業後の進路を就職としたはずなのに、ひとり暮らしを…
会わない人のことは忘れるいっぽうだ。高校以前の友人は、数えるほどしかない。打算的に選別を試みているとか、過去を清算しようとつとめているとかいうわけではなくて、たんに記憶領域が貧しいのである。顔と名がおぼろげになるのと、声やしぐさが輪郭を失…
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