ひらログ

ひららかのブログ

トーク・アバウト・ナッシング

「彼氏いるんですか?」と、「きれいなおねえさんが好き」と述べたばかりの私にたずねたこの人は、さっきの「好き」を「そういう好き」ではないと受け取ったようだけれど、「そういう好き」ならばそれが双方向のものであるという確信を得るまでひた隠しに隠…

奇想版画家

週末の上野に雨は降りませんでしたが、長蛇の列に、ちらほらと傘の開いた眺めは、昨年の秋に同じ美術館を訪れたときとよく似ていました。その傘というのが日傘であり、心底から日射しを厭う顔がそこらじゅうに息づいているのを見て、しかしいまは夏であると…

先生・高校篇

この歳になっても古びた高校の校舎にいまだ足を運ぶ最後の目的は、浮世離れした恩師の住む英語科準備室を訪れることなのですが、担任だったその先生が私に「きみは高校生らしくないね。友達としゃべってもつまらないでしょう」と言ったのも、その部屋でした…

書生志望

学年末の課題にかこつけて目をつぶっていた就職活動に、ようやく手をつけました。 すると、私が研究に向かう情熱と才能を備えているか、あるいはとことん勉強がきらいであれば抱かずにすんだ迷いにも、ふたたび向きあう必要が生じました。進学はせず働くと決…

暮れの記

なにもない一年でした。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのためだけに、ひとり夏の雪国をめざしたのは昨年のことです。通学定期をはじめて手にしたのは一昨年です。今年はめずらしくどこにも行かないで、同じ改札や街並みを飽かず眺めました。変わらない景…