ひらログ

ひららかのブログ

交歓

 「どう答えてほしいのかわかるから、適性検査にはたいした意義がない」というようなことを友人がなにげなく言い、自動車学校から「自分のありのままをだせる人です」と診断された私の度肝を抜いたのは、おとといの夜でした。彼女は、自身にいかなる態度や言動が求められているのかを鋭敏に感じとる皮膚の持ち主であり、他人に多くの関心をもてない私とは別種の人間です。しかし、私たちは、同意や助言をほしがって口を開くのではなく、ことばを通じあわせることに愉しさを見出すという点において一致していたため、驚きに満ちた異文化交流は、しずかな交歓のようでもありました。

 正しくありたいと願う彼女は、自身のことを正しくないと見なしてもいるらしいのですが、それを聞いた私は、あなたは魅惑的だ、正しさがなんになる、そもそもべつに間違っていないのではないか、と思うだけでした。けれど、彼女が彼女自身の気に入ることこそすべてですから、「したいこととしていることとが一致したらよいね」と毒にも薬にもならない返事をしました。

 むきだしの自我みたいな私のことを、彼女が「容器に入ろうともしないスライム」と評したとき、私はめまいを起こしかけました。この子のつかうことばのほうがよほどおもしろい、と感じ入ってしまったのです。