ひらログ

ひららかのブログ

オント

 ここに書きつけてゆくわが思想めいたものの、ほとんどは産まれたてです。ひらめいたときに書くか、書いているときにひらめくかしています。文字を覚えるより早くから私の芯に根づいている性癖といえば、「指図されるのがきらいだ」くらいです(好きなタイプをたずねられ、「ほうっておいてくれる人」と答えた小学生のころを思い出すたび、私は自我の同一性を保証されたような気分になります)。そのほかは、過去のおのれに対する拒絶反応に、ことばをあてがった人工物です。

 私がなれあいに居心地の悪さを感じ、学閥のない会社を探し当てたのは、かつて「よい大学」に代表される序列を信じ込み、近所でいちばん入試の難しい高校を目指したおのれを恥じているからです。私がバイセクシャルを名乗り、あれこれと息もたえだえに語るのは、かつて親密そうな男の子ふたりを、クラスメイトとともに茶化したおのれを恥じているからです。私が他者の人生について口をつぐむのは、かつて、セックスフレンドがいるとあとから教えてくれた友人の前で、「愛のない」肉体関係を軽蔑する身ぶりを示したおのれを恥じているからです。

 私を書くことに駆り立て、過去から未来へと押し流すものは、強烈な恥の反作用にほかなりません。